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[04/11 麻樹凌]
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田口ランディの『コンセント』(新潮文庫)を買った。
つたやで立ち読みして読破したんだが、買いたくなったので買った。
というより買うしかないだろこれはと私に想わせたのだ。この本は。

主人公の兄が急性心不全で亡くなった。目にはうじがわき、元のかたちも
見られないほどのひどい死にざまだった。

兄の部屋にいったときに目に付いたのは掃除機であった。掃除を始めようと
いうかのようにコンセントにつながれた掃除機。
なぜか主人公はコンセントが気になって仕方なかった。そして兄と見たある
ビデオの少年の話を思い出した。

分裂症の少年は、手からコンセントを垂らしている。コンセントを差し込むと、
今まで人形のように動かなかった少年が動き始めた。その少年はコンセントが
つながっていないと生きることができなかったのだ。

主人公は兄の部屋でみたコンセントと少年のコンセントの間になにかかかわりが
あるような気がした。そしてコンセントについて考えることでなぜ兄が死んだのか
理解しようとしていた。

主人公は兄の死後、複数の場所で兄の姿をみた。
回数がふえていくにつれ、ぼんやりしていた兄の姿がリアルになっていく。
兄は手にコンセントを持っていた。

コンセントとはほんとうは壁にあいた穴のことをいう。今までいっていた
コンセントとはプラグのことをいうのだ。

兄がもっていたのはコンセントではなくプラグ。兄は一体なにとつながっていたのか。

主人公は知り合いの精神分析医にこの話をした。分析医の男は、「お前の兄は
自発性トランスだったんじゃないか」と主人公に告げた。自発性トランスとは
何の力もかりずにトランス状態に入れる人間のことをいう。

こういった人間たちはトランス状態に入ることを、『コンセントを抜ける』と表現している。
コンセントを抜いた状態では、世界と自分の境界あるいは肉体と魂の境界があやふやに
なり、互いがまじりあっている。ある意味で体外離脱のようなものに近い。

現実の世界ともう一つの世界を行き来しているうちに元の世界に戻れなくなり、
魂が肉体から離れ死んでしまったのか。

主人公が兄の死んだ理由を探っていくうちに、様々な体験をする。
ついにはコンセントを抜けあちらの世界とまじりあってしまう。


なんかものすごい本だった。うまく説明できない。
私の奥底からあふれ出てくるものがあって、涙が止まらなかった。
この本の兄妹の関係が私と兄の関係によく似ていた。この本をよんで私は主人公の女に
なっている気もしたし、私が彼女の体験を追体験したような気持にもなった。

すごく私の人生・境遇と似ていて感じいるものがひどく多かった。

昔のすさんでいたような、狂気にみちていたような、すべてを拒否していたような自分を
思い出した。

最初はあまり読む気もなかったが、読み終わってこれは私がよむべき本だったと分かった。

どこか放心状態になっているのでうまく言葉にできない。
それだけ衝撃的だったのか。
 

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